
こんにちは。生後4ヶ月になる我が家の長男ですが、先日鼠径ヘルニアの手術を受け、無事乗り越えてくれました!
ということで、今回はヘルニアに気づいたきっかけ〜どんな手術をしたのかという話。
同じく鼠径ヘルニアの赤ちゃんを持つパパママの参考になれば嬉しいです。
手術当日のことは、こちらの記事で記録に残しています。
Contents
【きっかけ】足の付け根の腫れに気づく
生後1ヶ月になったころ、息子のオムツ替えをしている時に右足の付け根が腫れていることに気づきました。
「腫れている」といっても肌の色は特に異常はなく、左よりも右のほうが多少プニッと盛り上がってるぞ?くらいのかんじです。
その翌日ちょうど別件で小児外科を受診する予定があったので、ついでに先生に聞いてみました。
この日は腫れは収まっていましたが、前日腫れていたことを説明すると、
「ああ、そりゃ鼠径ヘルニアですわ!!」と先生。
いわゆる脱腸だと説明されました。
(私は肛門から腸が出ちゃうヤツかと思ったんですがそれは「脱肛」らしいです^^;)
鼠径ヘルニアとは
鼠径ヘルニアとは、本来お腹の中にあるべき腸が、鼠径部に飛び出してしまう病気です。
ちなみに「ヘルニア」とは臓器などが本来の場所から別の場所に飛び出した状態のこと。臍ヘルニア(でべそ)や椎間板ヘルニアなどがあります。
鼠径ヘルニアとの診断の後、先生がいきなり
「胎児の時、もともと精巣は腰のあたりにあるんですよ。」
と言い出したので何の話かと思ったのですが、これが鼠径ヘルニアの原因でした。
赤ちゃんがママのお腹の中にいるころ、精巣は腰のあたりで作られて、それが徐々に下に降りていっておタマちゃん(スミマセンこの記事ではこう呼ぶことにします)の中に入り、固定されるのだそう。
この下降の時、通り道となるよう腹膜も一緒に下方へ伸びていき鞘(さや)のような形状になります。
このさや状になった腹膜は、精巣が通り終わった後は自然に閉じて無くなるそうなのですが、これが閉じずに残ってしまうことがあり、そこに腸が飛び出してしまうのが鼠径ヘルニアなんだとか。
下手な絵ですけど、たぶんこんなかんじ↓

それにしても、そんなこと全く知らなかった。わざわざ腰のあたりで使って降ろすとは。
人間の体ができるまでって神秘ですね。。
ということで、息子はすぐさまエコー検査を受けることになりました。
結果、鼠径部ヘルニアであることが確定。
さらにこのエコーにより「移動性精巣」という症状も明らかになりました。
鼠径ヘルニアに伴うおタマちゃんの症状

前述のとおり腰の辺りから下降した精巣は、おタマちゃんの中で固定されるのですが、息子の場合はどうも右側だけ固定がされず、おタマの中を移動しているらしい(=移動性精巣)のです。
本来、精子は熱に弱いので精巣は温かいお腹から離れ、おタマちゃんの下方に固定されています。これが固定されず移動してしまうということは、上の方へ動いた時にお腹の熱に晒されてしまうので良くないというわけです。
鼠径ヘルニアの原因を聞いて、この症状が鼠径ヘルニアと関連があることはなんとなく理解できました。
対処としては、精巣を縫い付けて固定する処置が必要だそうです。
治るのを待たず手術を決意

鼠径ヘルニアは1歳頃までなら治る可能性があるので、この病院ではしばらく様子を見ることも多いのだとか。
ですが、我が家では自然治癒を待たずに手術を受けることにしました。その理由は2つ。
理由① 嵌頓と緊急手術の恐れ
鼠径ヘルニアはよくある病気ですし、本人に痛みはありません。腫れた部分も押せば元にもどります。
ですが唯一注意が必要なのは「嵌頓(かんとん)」になること。
これは、飛び出した腸などの器官が締め付けられ、元に戻らなくなること。
そうなると強い痛みが起こり、血流が滞ることから飛び出した部分が壊死することも。そうして腸閉塞が起こると命の危険も出てきます。
嵌頓が起こった場合はすぐに医療機関での処置が必要で、その場で緊急手術となる可能性もあります。
我が家の場合、息子は生後半年ごろからインドネシアで生活します。もしインドネシアで嵌頓をおこしたら現地で緊急手術を受けることになってしまうのですが、現地の医療には不安があるため日本にいる間に手術することを選びました。
渡航前のタイミングで、なるべく月齢が大きくなってから手術しようという話になりました。
理由② どんどん腫れが大きくなった
初め(生後1ヶ月間頃)は鼠径部が「ちょっとぷっくりしているかな?」くらいの腫れだったのですが、日を増すごとにその腫れはどんどん大きく、見た目も痛々しいものになっていきました。
生後2ヶ月頃には、ギャン泣きした後はいつも赤々と大きく腫れ上がり、皮膚が引っ張られてパツンパツンになるように…。
本人は痛みがないらしく平気そうなのですが、見ていて恐怖を感じたので急いで小児外科を受診、相談しました。
もともと、なるべく月齢が大きくなってから手術する予定でしたが腫れが大きいので手術を少し早めることも視野に入れ始めました。
(ところでこの時、腫れた部分の押し戻し方を先生に習って帰りました。と言っても普通に指で押すだけ。初めはかなりビビリつつやってましたがすぐに慣れました。押しても戻らなければ嵌頓らしいので、その判別も自分でできそう。これで腫れに対する恐怖は薄まり暫くまた様子を見ることに。)
そして生後3ヶ月のとき、経過観察で再度受診した際に手術日決定となりました。
本当は生後2ヶ月頃よりも腫れの程度が落ち着いていたので、手術を先延ばししてはどうかと先生に相談するつもりだったんです。
が、息子を一目見た先生は
「お、だいぶ体もしっかりしてきたね。大丈夫そうだから、来月手術にしましょう!日程はこの日かこの日で…」
と、手術が決定。
予想外の展開に慌てつつも、私は以下の点を確認しました。
●生後4ヶ月での手術でも大丈夫なのか?
→新生児でも行う手術なので大丈夫。
●体重はまだ5キロほどだが全身麻酔に耐えられるのか?
→体重や年齢に見合った麻酔をします。この病院の麻酔科は優秀なのでご安心を。
●鼠径ヘルニアの手術は多いんですか?
→小児外科の手術の6割ほどが鼠径ヘルニアで、もっとも多い。
●先生は鼠径部ヘルニアの手術慣れていますか?
→長年やっていて回数はかなりこなしています。
最後の質問は失礼だったかもしれませんが、聞いて安心しました。
その後手術の説明や、レントゲンなど事前の検査があり、あれよあれよと手術の段取りが進んで行きました。
出来ることなら受けたくない手術。ついに受けることに決まってしまった。
でも、やるしかないし、やるべきだとも思う。
先生が提示した日程の候補の中に、夫が一時帰国する日が含まれていたので、迷わずその日にしてもらいました。
我が子の一大事。父親も立会の上で手術に臨めば心強い。
こうして、生後4ヶ月と2日での手術となりました。
息子の場合の手術内容
手術の内容
息子の場合の手術内容はこんな感じになりました。
- 鼠径ヘルニアの処置
- 移動性精巣の処置(必要に応じて)
- ヘルニアの再発防止措置(必要に応じて)
まずはヘルニアの穴を縫って塞ぐ処置。これは鼠径部を2cmほど切開して行います。(もう少し大きい子なら腹腔鏡も可能だそう。)
次に移動性精巣の処置。息子はエコー検査でこの疑いがあることがわかったのですが、実際手術をしてみてみないと確定的な診断はできないそう。
ということで手術当日、本当に移動性精巣であることがわかれば、精巣をおタマちゃん内部下方に縫い付け固定する処置をします。
最後に、ヘルニアのスキマが広い場合、再発する可能性があるため周りの組織を縫って引き寄せ狭くする処置をします。これも当日見てみないとわからないそうなので実施するかは手術当日判断。
実際の手術では息子は1と2の処置のみ行いました。スキマは大きくなかったので再発防止処置はしませんでした。
麻酔と所要時間
麻酔は全身麻酔。
オペ自体は40分ほどで、麻酔開始〜オペ室をでるまでは1時間半〜2時間ほどだそうです。
私自身も経験したことの無い全身麻酔。それを生後たった4ヶ月の小さな息子が受けると思うととても心配になりましたが、麻酔科の先生たちを信じるしかありません。
手術前日に麻酔科の医師の診察があり不安や疑問はそこで解消することができました。
1泊2日
内容的には日帰りでokな手術ですが、うちの病院では1歳未満は1泊するようになっているみたいです。
ということで息子の場合も1泊。付き添いで私も1泊します。
ここには妊娠中1ヶ月以上入院していたので慣れたもんです。
手術前後、生活上の注意点
特に注意することはないと言われました。
普通通りの抱っこ、普通通りの生活が可能とのこと。
ただし術後1週間はお風呂禁止でした。
手術時点での身長・体重
息子の場合、こんなコンディションで手術に臨みました。
- 月齢:4ヶ月と2日
- 身長:57.9cm
- 体重:5,005g
- その他:首座り前、風邪気味
小さく生まれた息子は同じ月齢の子よりも小さめです。
また、あろうことか手術1週間前に風邪をひき、それが「ほぼ治ったかな?」という状態で臨むことに^^; 一度も熱が出なかったので診察の末GOとなりました。
こんな心許ないコンディションでしたが、無事に立派に手術を乗り越えてくれました。
症例の多い鼠径ヘルニア。どの子も無事に手術を終えられますように。
はじめ医師から「鼠径ヘルニアで手術が必要」と言われた時はとてもショックでしたし、心配もしました。が、症例も多く小児外科の手術としては一番ポピュラーなものだそうです。そういう意味では心配しすぎる必要もないのかも知れません。
我が家の場合海外渡航という親の都合があったわけですが、息子にあったタイミングと治療方針を模索し、無事に治すことができました。